抹茶の原料は普通の茶葉とは違う!?

碾茶(てんちゃ)工場の中の様子です。

抹茶の原料となる碾茶は、煎茶や玉露とは異なる製法で作られます。
通常、緑茶といえば煎茶など細く揉まれたお茶をイメージするかと思いますが、碾茶は形状が全く違います。端的に言えば、葉っぱをそのまま乾燥したような形状になります。これを石臼などで挽いて粉末状にしたものが抹茶です。

碾茶は、碾茶炉という遠赤外線効果を利用した特殊な炉で葉を乾燥させることにより、炉香と呼ばれる、独特な香りが生まれます。この香りは、茶葉の品質、工場の設備や製茶技術によっても大きく変わってきます。宇治抹茶が高級茶として扱われるのは、こういったところに強みがあるからです。

碾茶が、「碾茶」として出回ることはほとんどありません。ほぼ全てが抹茶になるからです。
碾茶は、苦味や渋味が少なく、独特な香りと旨味があり、他のお茶にはない特徴があります。もし見かけたら、非常にレアなので飲んでみるのもいいかと思います。

伝統的な本ず被覆による日本茶栽培

京都宇治の小倉にある、吉田銘茶園さんに、いつもお世話になっている会社の社員さんとともにお邪魔しました。茶摘みや製茶の真っ只中にもかかわらず、茶園での茶摘み体験や工場の見学などもさせていただくなど、大変温かくお迎えいただきました。ありがとうございました。

こちらの茶園は、本ず(ほんず)被覆栽培とよばれる、現在となっては非常に珍しい方法で栽培が行われています。これは、丸太で骨組みを作り、葦簀(よしず)と藁で覆いをかける伝統的な栽培方法であり、こちらの茶園は日本遺産認定も受けているそうです。
ちなみに、現在これに代わって主流となっている寒冷紗とよばれる黒いシートも、なんと吉田さんのところで開発されたそうです。
玉露や碾茶(抹茶)の本場、宇治茶の産地では、これまでの歴史で培った知識と技術が現代の栽培にも生かされているなぁと改めて感じます。

初めての訪問でしたが、色々と発見をさせていただきました。
宇治茶産地では、まだまだ生産が続きます。宇治茶のブランド価値を支えていけるような取組にどんどん携わっていきたいと思います。

京都の玉露、抹茶はなぜ高い?

茶畑

京都、宇治茶の産地の中でも大きな生産量を占める和束町、南山城村に行ってきました。この近辺での茶時期はそろそろ佳境を迎えようとしています。

広々とした茶園を見渡すと黒いシートのようなものが見られます。これらは一体何でしょうか?

これは、世界でも人気が高まりつつある抹茶や、高級茶として知られる玉露を生産するために必要なものです。このように茶園に黒いシートのようなものを被せる栽培方法を、覆い下栽培、または被覆栽培といいます。それに対して、太陽の光を浴びせる栽培を露地栽培といいます。前者は主に京都府や福岡県、後者は主に静岡県で盛んです。
では、なぜこのようなことをするのでしょうか?

この栽培方法は室町時代の頃より始まったそうなのですが、元々は新芽に霜が当たらないようにするためだったようです。
現在では、お茶が持つ旨味成分であるアミノ酸が、日光によって渋味成分であるカテキンに変化することを防ぐためや、葉緑素を増加させ、茶葉の色をより深い緑色にするためなど、複数の理由があるとされています。茶葉の色に関しては、次の写真で違いがよく分かります。

被覆にも、棚を組んで覆いをするタイプと、直接茶樹に覆いをする直掛けタイプがあります。棚のタイプの方が、茶樹にストレスがかかりにくく、より成育も良いため、品質が高くなる傾向にあります。
とはいえ、どちらも非常に手間も費用もかかるものです。生産農家の方々は、知識や経験から頃合いを計り、注意深く茶園を管理されています。玉露や抹茶の価格が高くなってしまうのは、それだけ手間と費用をかけているためです。

但し、被覆をする、しないで品質の優劣は決まりません。あくまでも生産地や生産農家の中での文化的な側面が強いと個人的に思っています。同じ日本でも、それぞれの嗜好に合わせた特徴ある茶づくりが数多く存在し、それらが茶文化を支えてきたのだと思います。